オイラ的充実読書ログ。

人生を充実させるために、本を読みます。

筒井康隆の小説感想25冊目『将軍が目覚めた時』

・万延元年のラグビー

井伊直弼の首で忍者軍団がラグビーをする話。

前半の擬声語が乾いた感じを強く出していて、笑いを誘う。

 

ヤマザキ

中国大返しの様子に、なぜか現代の道具が紛れている話。

電車や電話など、その時代になかったものを織り交ぜて軽い感じに感じる。

 

・乗越駅の刑罰

切符を失くした男が駅員に責め抜かれる話。

ちょっとしたことで起こりうる恐怖を背景に感じる。拷問を受けている間の母や弟に対しての思考は本当に有り得そう。

 

・騒春

不良高校生が、同級生を犯そうとする話。

ただただこれも、リアル寄り。

ライオンの描写のギャグは、怒られそう。

 

・新宿コンフィデンシャル

何かをやりたかった男が、何をやっているのかわからないようなことをする話。

結局、最後まで何をやったのかもわからないまま。まず、何かをやるという目的がないと。

 

・カンチョレ族の繁栄

20世紀初頭、仕事で来た男とその家族の未開の地でそこの民族の生活に入っていく話。

家族は死に、カンチョレ族はうまいこと他の民族と調整しながら反映していく。その土地土地でそれぞれ知恵があるものだ。

 

・海の上にある家に住んでいる少年が不思議を抱えながら夢と現実をさまよう話。

謎は解決されないが、その不思議さ故に文は読んで行ってしまう。

スッキリはしないけど、こんなもんかなあ、と思った。

 

・空飛ぶ表具屋

江戸時代、空を飛びたくてたまらない男が、お上や人の目をかいくぐり、空を飛ぶチャレンジをする話。

今のところ、まともに近い部類の時代小説は初めてじゃないか。『万延元年のラグビー』や『ヤマザキ』など時代小説っぽいものは多いが、史実にあんまり近くないもんね。

 

・将軍が目覚めた時

自己承認欲求が強すぎて気が違ってしまった男が、数十年後元に戻って、さらに気が違っているフリをする話。

気が狂っているときこそ、充実している。そういうこともあるか。

 

筒井康隆の小説感想24冊目『家族八景』

精神感応能力がある主人公七瀬が、その能力を隠しながら家政婦として様々な家を転々として、その家族を内面から見る話。

たいてい自己中心的な欲が強い登場人物ばかりが出てくる。ここまで表裏が離れているやつばかりではないはずだ、と思うが、オイラ以外の人間は実はそうだったのだとしたら、オイラは大きくガンジーとかマザー・テレサ側の人間なのではないだろうか。そして、精神感応能力を持って生きてきた七瀬ならではの、人に対しての解釈も面白い。

 

若くて美しい七瀬の他人に入ることでの危うさにハラハラする。

か弱い人間目線の危うきドキドキを体感したいときにオススメ。

 

 

筒井康隆の小説感想22冊目 『日本列島七曲り』

・誘拐横丁

町内の人々が数珠つなぎ的に誘拐する話。

やられたがりの最上の奥様がいい感じ。

 

・融合家族

二組の夫婦がそれぞれの家を同じ土地に立てた話。うまい具合に家が融合されているらしい。

最後にはそれぞれの夫婦たちも融合されたし、前の小説のフリが効いているオチ。バカバカしいねえ。

 

・陰悩録

陰のうが風呂の排水口にINしてNOとなる話。

3連続の下ネタオチ。女のこすっ辛さが際立つ。

 

・奇ッ怪陋劣潜望鏡

潔癖に育った夫婦が、潜望鏡で見られているという幻覚を見ながらたくさんセックスする話。

たくさん出てくる潜望鏡。ムーミンのニョロニョロを思い出した。

 

・郵性省

オナニーしたらワープできる、便利だな、っていう話。

人間の倫理観の脆さへの皮肉はスッキリする。

 

・日本列島七曲り

ハイジャックなんてめったに遭遇できないものをみんなで楽しむ話。

こちゃこちゃしている。

 

・桃太郎輪廻

腰から下の尻が桃太郎を産み、大きくなった桃太郎は尻を妊娠させ、過去にタイムスリップさせる、という延々と桃太郎がループする話。

この場合、近親相姦じゃないのか。桃太郎の子供がそのまま桃太郎になるのか。こういうタイムスリップものは、頭がこんがらがる。

 

・わが名はイサミ

新選組が酒と女で遊びまくり、全然攻めいらない話。

男色が強調されている、やおい小説である。

 

・公害浦島覗機関

ホテルの壁の中の階段を登ったら、部屋にいた違う時代の人々を覗けたという話。

東京都に住んでいる人々を出て行かせたいがためにもっと公害を巻き起こせというお偉方の会話や、半ば脅しながら婚約相手と交わろうとする男の様子などが見られる。最終的にはお偉方は死に、男は妻の尻に敷かれるという不幸に見舞われるところに気持ちよさがある。

 

・ふたりの秘書

小さい会社でふたりの秘書どちらとも関係を持つ話。

人間関係のストレスから逃れたかったから小さい会社をやっていたのに、結局秘書二人とも子供ができてしまう。

どーしょーもない。

 

・テレビ譫妄症

テレビ見まくってたら、心身ともにガタがきて日常に戻れなくなる話。

現代のスマホに通ずる。手軽に快楽があるのはいいのか悪いのか。

筒井康隆の小説感想21冊目 『脱走と追跡のサンバ』

 

この世界から脱出したい「おれ」が、支離滅裂に追いかけられる話。

追いかける「追跡者」、よくわからない立ち位置に「正子」がいる。

この小説は、頭のいい人が頭の中の想像の幅を広げ、その振り幅の運動を楽しむ小説のように感じた。ある意味、文字で読む夢のような部分もあったり、反面くどすぎる理屈っぽい文が長々と書かれていたり。

いわゆるこの話は、形のあるストーリーものではない。話の展開すら読めないので、今までの筒井康隆の作品のドタバタより、さらに無茶苦茶さが際立つ。

「つまり、どういうことだ?」ということへ要約できない、文章を読む人へのエクササイズ的作品だと思った作品。

筒井康隆の小説感想20冊目 『12人のアップルパイ』

 

『初春夢の宝船』遠藤周作

医者たちが憧れの美少女の体内に入って身体を治そうとする話。

筒井康隆によると、これはパロディーであるらしいが、なにぶん時代が違うので元ネタがわからない。

ただ、最後が映画の終わりのようなものの言い方で終わっていた。

 

 

『はだかの部屋』星新一

来る人くる人が結果全員裸になって、押し入れに押し込められる話。

シチュエーションが秀でていて、主人公と登場人物との関係の描き方が絶妙。

オチも艶の暴走がはらんでいて、話の終わりにこんなにワクワクニヤニヤするものなのか、と気持ちの高揚があった。

素晴らしい。

 

『びっくりハウス』田辺聖子

間男を問い詰めたら、なんだかみんな仲良くなった話。 

主人公の妻が、あっけらかんとしていて、不思議。

新しい人の関係性の方向を見た。

 

 

『美しいスオミの夏に』五木寛之

外国でいきまいて権利を主張したら、最終的に劣等感を感じさせられた話。

青年団が外国に行き、自分たちが欧米人でなかったことで入れなかったヌードのパーティを不服として抗議するのだが、いざそれがかなったところ、ただ肉体的劣等感を感じて、「あと先が考えられてないなあ、熱血はいいが抜けてるなあ」、となった。

 

 

『友情』北杜夫

中学生の気の弱い男の子と、ワガママが抑えられない子のやり取りの話。

中学生くらい、よくあるやりとりが頭に浮かんだ。

 

『悩ましき土地』吉行淳之介

よかれと思って、相手の事情を考えず塀を立てたり、人に貸すため家を増築したりする大工と土地の貸主の教師との話。

登場人物全員善人。緩やかな被害に感じる感性。

 

『新婚山行』新田次郎

山登りの新婚旅行中で、初夜をやりたいフラストレーションを抱えながら、旅の途中で二人死んでいく話。

間に入る一人の人物が二人の関係を壊す、その描写がもどかしさを感じさせる。二人に初夜をさせてやれよ。

 

『最後の客』生島治郎

謎の自殺を遂げた父の、その理由を追い求める話。

芸人だった父は、太鼓持ちとして小さくなって生きてきた。

死の際の最後の客は、小さな悪魔だったな。

 

 

地震がいっぱい』豊田有恒

地震が起きて、過去や未来が現れる話。

変容していく地球、週末感を感じられる。

 

『ああ、水中大回転』野坂昭如

世の中の端っこにいるような二人が、八百長をしたとうそぶく話。

大したことなさそうな人間に、八百長をされた競艇場は、その事実を隠そうとしたのか。

犯罪に近いことだろうが、一世一代の大仕事をした彼らは、捕まることで心に勲章を得られたのかもしれないのに。

 

『本邦東西朝縁起覚書』小松左京

南北朝時代天皇が復活して、現代の日本が二つに割れてしまう話。

面白いこと、これを現代の若者が望んでいるなら、実際にこのようなことが起こっても受け入れるだろうなあ。

 

 

 

 

筒井康隆の小説感想19冊目 『緑魔の町』

いたずらで閉じ込められた地下倉庫から脱出したら、街中の人間が宇宙人に乗っ取られていた話。

脱出したら家族や街の人が変わっていて、日常の変転がよく描かれていて、子供にも読みやすいだろう。

腹が減りすぎて家族なんぞクソ喰らえにってるとことか、市役所に行って戸籍を確認して父親をつれていくとことかが、人間味があって良い。

 

「ハチャカバーッ!」ってセンスもさすがだ。