オイラ的充実読書ログ。

人生を充実させるために、本を読みます。

筒井康隆の小説感想9冊目 『にぎやかな未来』

にぎやかな未来

『超能力』
おじと甥が超能力で相手の心を読み合い、殺し合いに発展する話。
相手を殺そうとするとき、ツボで殴ろうとしているとか、銃弾があるかないかわからないだろう、だとか心を読み取る能力で話は展開していくが、予知の能力でオチになっているのが小気味良い。

『帰郷』
しばらくぶりに帰った地球が実は昼夜以外が全て同じ、違う星だった話。
オチは側からみればとても些細にも感じ、しかし個人的には嫉妬の炎が燃え上がるのだろう、と。

思えるような人間らしさが出ている。
お前もやったやん、という。自分を棚に上げるところも、人間っぽい。

『星は生きている』
たどり着いた星が生き物のようだ。頭を拳銃で撃ったら星が死んで、大変な目にあった話。
星+犬。シンプル。

『逃げろ』
未来からやってきたという男、恋人と痴情のもつれを起こす話。
最終的に今日完成したタイムマシーンで、最初にやってきた男を殺しに向かう。
いいリード。オチまでの体感としたの小気味良さ◯。

『事業』
ある事業を研究記録風に描いた話。
ノミが知性を持ち、社会性を伴っている状態。
そして収入源はサーカスで、報酬は人の血液である。
ノミが芸をする、ということの発展の発想なのだろうか?

『悪魔の契約』
悪魔と契約した男が、死の間際にその代償を払わされる話。
見事な舞台転換。最後のオチもふっ、と笑ってしまう。

『別れ』
ある男がある理由で横暴になり、その理由から誰もが言うことを聞く、と言う話。
圧倒的な力にヤケを起こす様と、そのやるせなさへの周りの理解が不思議な人情味を感じる。

『最終兵器の漂流』
最終兵器の番人が、兵器を守ろうとしている様を描いた話。
ちょっとしたドタバタ、という軽い印象。


『腸はどこへいった』
大便が出なくなってしまった男の話。
ちょっとした自惚れ描写のエッセンスがあり、それがちょっとした笑いの肝。
一応、オチに弱目に効いている。


『亭主調理法』
妻方夫を殺してしまった後、その始末がとんでもないことになる話。
実際は意図通りの表現だが、間違いのように装われている、メタ的発想の笑い。


『我輩の執念』
公団住宅に異様に執着する男の話。
多少は気もくるいたくなるような話ではあるが、相変わらず極端に描かれた話だなあ。


『幸福ですか?』
幸福ですか、とか聞いてくるやつがギャフンと言う話。
テレビ側の傲慢についての風刺を感じるねえ。


『人形のいる街』
作られたモデルの世界を切り取った話。
異様にオチだけが少し重い。


『007入社す』
ジェームズボンド似の男が好奇の目で見られる話。
ちょっと有名になったタレントが一般企業に入社したら、という感じだね。


『踊る星』
宇宙を探検している人たちが寄った、踊りをやめた人が死んでいく星。地球に帰還した人たちが自分の人生と照らし合わせる。
やるもやらされるも、上手いも下手も、自分が踊っている、動いている、それをやる、というだけの話。


『地下鉄の笑い』
ある人が地下鉄の中のポスターを見て大笑いし出したのが伝播して、そのポスターが世間で「面白い」ことになる話。
人に合わせて半ば無理やりニヤついたりする人間が多い描写があり、それだけ自分が確固としてある人が少ないということだね。


『長い話』
人のことを考えない、話したがりの婆さんの話。
我を通して人の目を気にしない、愛のないしあわせの形なのか。

スペードの女王
ポーカーでの勝負。鼻持ちならないやつの鼻をあかしてやるのだが、、、
一枚上手だった、イケメンくん。勝つやつは、どうやってしても勝つね。


『欲望』
男女が思う欲望があることで一瞬で叶う話。
スパッとした話。


『パチンコ必勝原理』
ノーベル賞をとった学者が、様々な計算を張り巡らせてパチンコを打つ話。
どうやっても、勝てない時は勝てない感を壮大に描いている。


マリコちゃん』
雑誌わ持っている女の子が、その表紙に描かれている女の子になってしまうのが続く話。
テレビに映っているテレビが延々と続くのと同じで、誰もが一度は思う、エンドレス感。


『ユリコちゃん』
死んだお父さんが死んだことに気づかないように普通に振る舞う話。
なんとも、いじらしい。


『サチコちゃん』
怖い夢を見ていて目覚めても、またさらに怖い夢、これも夢かと思ったら、あれま、現実だった!?という話。
怖い夢の原因は、お母さんだったのか?


『ユミコちゃん』
目の不自由な娘が、不思議な訪問者に会う話。
不気味な存在なのだが、態度はしれっとしてるので、さの存在は成功してるのかもしれない。

『きつね』
子供同士の我慢比べ。お互いを怖がらせて自分が安心しようとしている。
どこにでもある、子供の世界の一場面。相手を打ち負かそうという心理は、子供っぽいものなんだな。

『たぬき』
なぜかたぬきを怖がって逃げ惑う話。逃げる人と追う人とでリレーのような関係が出来上がる。
オチは、たぬきが誰かに化けて、皆をからかってるってこと?


『コドモのカミサマ』
コドモのカミサマがいなくなって、winwin。
漢字がカタカナ表記で、コドモ向けとあうことなのかな。
最後の最後の部分がなぜサディスティックなのか。


『ウィスキーの神様』
ウィスキーの神様がファッションの神様を待つ話。
愛のささやきは別でも聞かれていた、ってこと。


『神様と仏さま』
かみさまと仏さまの争い。冷戦になり、人間に八つ当たり。
我々は神様仏様を頼りにしたりするが、それがあるのかどうか、と問うているような作品。


『池猫』
池に捨て猫が、そこに適応した話。
彼女が見たのは、妖怪だったのかも、、、


『飛び猫』
洞窟内にいた猫が適応能力で独自の進化を遂げた話。
こんなもんが実際出てきたら、恐ろしくて直立不動になるぞ。


『お助け』
自分の時間感覚だけが早くなり、周りがついてこなくなる状態になる。

どうしても、ジョジョを思い出す。時が止まる理屈や、ブチャラティがゆっくりした感覚の中でぶん殴られるシーンなどがだいぶ前に先に描かれている。
人間は社会的動物。どんなに人より秀でた才能や感覚を持っていても、共有や共感、さらに言えば優越感を持てないと、生きる甲斐がない。
人の反応で我々は生きていることを思い知らされる。


『疑似人間』
身体の臓器を機械化していって生き続ける人間の話。心臓、肺、血管、とどんどん人工物に変わっていき、最後には脳までもが人工物に取って代わる。最後には、すでにその人間は人間ではなくなってしまっているようだ。
人は、どのラインまで人間で、どのラインから機械なのか。オイラはあるいは、脳みそが人間であれば、まだ人間説を推したい。


『ベルト・ウェーの女』
効率化された未来。恋をすることも今より効率化されていて、意中の女性にアタックするも、、、
現代感覚の人間味が薄まって行き着く先なのかな、と思わされる話。
我々は効率化と人情を同時に求めなければならないのではないか。


『火星にきた男』
地球に嫌気が差して火星にきた男が、それは思い込みで地球で現実逃避している、という話。
しかし、オチではさらにその妻が、実は精神をやられていて、、、どっちが本当のことを言っているのかは聞き役の甥にしかわからない。
スッと読めて、なかなか面白味のある作品。絵が見えない小説ならではの手法で、思わず目を見開いて嬉しくなる。


『差別』
白ん坊が黒ん坊の子に差別行為を働いている。
子どもが家に変えると、その親は長い間、その差別の関わる争いが続いているという。
それは、種族を超えて、、、
生き物である以上、周りより優位に立ちたいものだろう。その気持ちをそのままストレートに外に出す、これは理性的ではないけど、果たして70億人総理性的社会だと、またそれはSF見が強くておかしいものではないだろうか。


『遊民の街』
遠い未来。その社会では、さらに効率的な社会になっており、計画的に作られた優秀な人間でないと仕事をすることができなくなっていた。
仕事を追われた主人公は、食うには困らないが仕事がない場所に追いやられるも、やることがない。そこで、昔やっていた詩をやろうと思うも、、、
これまたなんで生きるのか、自分という存在をどのように社会に認めてもらうか、ということの心理に焦点が絞られている。
ただただ、人と比べず、遊んで暮らすことも可能そうだが、どのみち芸術の才能もなく、競争しないで生きるというのは80年は長過ぎるのか。


無人警察』
主人公は、あるロボット巡査に付きまとわれる。最新型のそのロボットは、悪いことをした人間はもちろん、しようとしている人間までつきまとい、警察に行くことを促すのだ。
主人公はたまらず警察署にいくのだが、そこで待ち構えていたのも、、、
ロボットに能力を持たせすぎていいのか。
人は何を作り出そうとしてるのか。そして、人は滅ばずにはいられないのか。超古代文明が思い出される。


『にぎやかな未来』
常に何かしらのCMが街中で流れている未来の話。その世界では無音こそが価値になる、ということだ。
タイトルからすると、とても楽しく前向きな話なのかと思うのだけど、そこは筒井康隆、そんなわきゃない。
これは、CMが世の中に多すぎることへの皮肉なのだろう。CMは、どうしたってモノを売りたい企業側からすれば、なくてはならないものだからなあ。最近でも、You TubeなどのCMが台頭してきているし。
昔から今まで、情報を処理する能力こそが得を享受するのに欠かせない。一生お花畑では、生きていけない。世知辛い。