オイラ的充実読書ログ。

人生を充実させるために、本を読みます。

筒井康隆の小説感想10冊目 『幻想の未来』

幻想の未来

『幻想の未来』
遠い未来の地球。物はなくなり、放射能の汚染する中、適応を遂げた生物が、食料、他の生物、何かを探し求め、生きる。
物質がなくなり、大気に意識が残る、という精神文明の世界。現代でもふと考える、「何の為に生きているのだろう」というテーマをこの世界にも置いている。
置き換えると数千年前と現代で、精神的な部分はどう変化したのか。それらはこの先、どう変わっていくのか。見ものだねえ。


『ふたりの印度人』
電車の中で目があった印度人らしきふたり。
その後なぜか家までつきまとわれる話。
コントのように無言でナンセンスな行動をする印度人。オチはSFチック。
国ごとの感性の違いの一部分を尖らせて描いたのかな?


『アフリカの血』
日本でタレントをしている黒人が、生まれ持った部族の血により覚醒して、コンクリートジャングルであるこの地で、様々なものでアフリカを体感しながら走り回る。
黒人の歴史背景による文化の違い。我々は未開人軽く考えてないだろうか。
それを軽くみるのが我々の文化、なのだろうか。


姉弟
弟が牛になってしまった。それは、姉が食べてすぐ横になると牛になる、と言ったことを信じたから。
なんとなくのほほんとした弟。牛になったからか。


『ラッパを吹く弟』
弟との喧嘩により、バーベキューの串で頬に穴が開いてしまった姉。弟は、それを見ると泣き、自分も同じにしようとする。
夢の中で、弟が謝ってくると、弟は、姉が吹けなくなったラッパを吹いてくれたのである。
筒井風、ほのぼの話。子どものころ、このように罪悪感は強かっただろうか。


『衛星一号』
下の親に乗り、上に子を乗せて、繋がっている生命体。好奇心から、その列から抜けるも、、、
最後にその個体がご先祖さまの列から足を踏み外して衛星になった、ということだろう。引力がオイラが思っているものと違うのかな。


『ミスター・サンドマン
人知れず意識を持った砂丘の怪物が、人目に触れようと移動するが、、、
なんとも、もどかしい心理描写。もちろん、人間にも置き換えられ、自分のテリトリーだと力を発揮できるのだが、外ではそれができない。
うん、内弁慶の話なんだな。


『時の女神』
少年の頃に学校の前で出会った美しい女性。大人になり、変わらない姿の彼女と結婚する。そして、彼女が病床に伏しているとき、過去に出会ったことがあり、未来でも出会ったことがあることを聞く。
ふたりの間に生まれた娘が年頃になり、過去に遡って学校の前で結婚をする相手と会ってきて、、、
ミステリアスさがほのかに残り香を残す、颯爽とした作品。


『模倣空間』
なんでも模倣されてしまう不思議な星に降り立った異星人の話。
人が個性を大切にして模倣されたくない気持ちを思い起こさせるような、世間一般の人が何も考えず著名人の誰かを真似しようとしていることを今一度再考させるような、それでいて文体がふんわりとした作品。宇宙空間。


『白き異邦人』
故郷の地球に帰りたい男と、その星では変わり種である女との物語。
愛し合い結婚したふたりだが、ある時、男は地球に帰れるチャンスに会い、その宇宙船を奪おうとする。返り討ちにされてしまうが、貴重な地球人ということで、蘇生される。一部の記憶を取り除いて、、、
結局のところ男というのは、妻子供を置いて、自分の達成したい目的を選ぶものなのか。その結果には、心に穴も開かずに、満ち足りるということがあるのかねえ。