オイラ的充実読書ログ。

人生を充実させるために、本を読みます。

筒井康隆の小説感想13冊目 『わが良き狼』

わが良き狼


『地獄図日本海因果』
日本海自衛隊にわけがわからないくらいなことが起きる話。
北朝鮮の艦隊や、昔の帝国海軍の連合艦隊が出てきたり、、、
まあ、戦争の歴史をあれこれミックスしてるんだろうけど、疎いオイラにはようわからんかったけど、キャラクターが軽い感じをしてコミカル感だけは楽しめた。



『夜の政治と経済』
予知夢を見るホステスの話。
予知夢で見たことがぼんやりしているせいで、予想していたことで食い違いが起きる。
最後のオチが、なかなか怖くて良い。話の展開は真っ当な部類だ。
七色の才能を感じざるを得ない一作。


『わが家の戦士』
家の中が突然戦場になる話。ドアや襖を開けるたび、ベトコンだのアメリカだのの兵隊が現れる。
さらには、自衛隊がその戦場に参入し、妻や子供は殺される。
時折挟まれる、戦争だから仕方ないというような雰囲気は、我々がたまに思うことへの揶揄だろうか。
主人公の男も、行動に葛藤がない。武器を売る会社に勤めて、武器を他所の国に売りまくるのである。しかし、自分でそれを使って戦おうとしない。戦争自体は他人事ということなのだ。
日本がやっていた武器商売の浅はかさが皮肉られている。

『わが愛の税務署』
税金をたくさん払って威張りたい人の話。
税務署は、それなりの高額納税者の主人公に対して、あるものは身体を差し出し、あるものは徹底的にいじめ抜かれる。
納税者と税務署をあべこべにした話で、「こっちが金払ってるんだから、こっちが威張らせろ!」という鬱憤のようなものが描かれているように思える。


『若衆胸算用』
「カッコいい人間」が、カッコよくありたいと思い、カッコ悪い人間を嫌う話。
この頃の若者ゆえの「カッコよくありたい」という価値観を考えさせられるような話。
部長の歳を取ったがゆえの「カッコよさ」の喪失を目の当たりにする主人公の葛藤の場面は、さながら夜の明かりに目指すべきものがあると思い親しみを込めて近づいた蛾が、その罠と化した熱線で結果弾け死ぬような、そんな場面であり見応えがあった。


『団欒の危機』
家にテレビが無くなったので、家族で創作したお話をしていく話。
お話をしていく中で、話している人が、お話の中の人物にその家族を当てはめて、現実の心情を織り交ぜる。
テレビ、今だとスマホがない中で話題を作れるのだろうか?

オイラは様々な角度から人間、というのを考え、話せることを作っていきたい。


走る男
不人気になったオリンピックに出場した男が、途中結婚しながらも、何年後かに協議の途中だったことを思い出し、ゴールに行ってみる話。
なんだかこの世界ではみな身体が弱いことになっていて、寿命も短い。頽廃的な精神構造でもあるらしい。
この世界では、楽しいことが少なさそうだ。


『下の世界』
精神階級と肉体階級が別々に暮らしている世界で、主人公が精神階級の世界に入るために奮闘する話。
知識を持っている自分と近しいおじいさんと、結局同じ運命をたどる主人公に哀しみの感情が湧き出てくる。
知識を持っていても、本能的に動いた結果、あるいはその知識を持っていなかった結果、悲しい結末は回避できないものだったのか。


『わが良き狼』
昔大騒動をやらかした相手の狼や、それに巻き込まれた仲間たちと何十年ぶりかに会う話。
西部劇のような話で、久しぶりに帰ってきた主人公とみんなの会話は哀愁たっぷりで、涙がにじみ目が潤う。