オイラ的充実読書ログ。

人生を充実させるために、本を読みます。

筒井康隆の小説感想16冊目 『心狸学・社怪学』

『条件反射』

事故を起こして、内臓が動物のものに入れ替えられる話。

入れ替えられた動物に因んだ反射をしてしまう。

落語的なオチ。

 

 

ナルシシズム

おもうがままのはずのロボットにおもうがままのことをしようとするのだが、、、

人間風のロボットに、より人間的な精神機能ををつけると、極めて人間的な行動を取ってしまった。

オチは、苦しめの懲らしめ。

 

 

『フラストレーション』

オナニーを通しての、男性と女性のいがみ合いの話。

スズメを自慰によりやっつけるところがぬっとりとた嗜虐性を感じさせるギャグ。複雑めいた笑い。

 

 

『優越感』

団地VS一戸建て。

満たされなくなった優越感は、過剰にマウンティングをすることに変化する。

 

 

サディズム

そっくりに作ったアンドロイドと元となるタレントの女を勘違いして入れ子で考え、乱暴を働く。

よくある話だが、サディスティックな表現を見ると人間ってしょうもねえな感を味わえる。落語で言う『業』だね。

 

 

エディプス・コンプレックス

三十三歳、女性に興味がわかない男が、その原因を探して、医者と深層心理の世界に入り込む。

心の中で女の性を偏見で見ている描写が、ほう、とうなずかせる。

 

 

『催眠暗示』

ステテコが思念によって宇宙空間を漂うことについて、その持ち主の男がしっちゃかめっちゃか言われる話。

念は鍛えて育てるべき、という教育とみた。

 

 

ゲゼルシャフト

警察官が変装して犯罪を行う話。

その理由に皮肉を効かせる。人を何人も殺してしまっても、「まあ、しょうがねえよなあ」というような風潮。みんなの利益になっているからといって、登場人物が笑うように常識逸脱のシニカルな笑いを誘う。

 

 

ゲマインシャフト

引越し先の家が異空間を持っている。その中で、近所の皆さんと仲良くするのをすすめられる。

オチは、打算がある関係性なので狭義的には「ゲマインシャフトじゃねーじゃねえか!」と思うんだけど、共同体ではある。

 

 

原始共産制

東大が学生運動で封鎖され、そのまま共産主義に生きている子孫たちの話。

資本主義だからこそ発展するし、それが普通に欲を持つ人間が人間たらしめるところというのを逆説的に描いている。

何も知らないのを哀れに思うのも、上から目線なのかもなあ。

 

 

『議会制民主主義』

総理大臣、外務大臣、大蔵大臣が、交通事故で瀕死の状態なので、ゴリラオットセイウマに脳を移植する話。

支持されている人間が国を運営するのがまさに議会制民主主義とは言うオチだが、果たして支持の種類が違ってもうまく回せるのだろうか、あるいは誰がやって変わらないということなのか?

 

 

『マス・コミュニケーション』

マスコミの毒を喰らい、男が二千人切りを果たす話。

最後のシーンに嗜虐的なエロスが漂うように思える。

 

 

『近代都市』

電車が撒き散らす汚物を巡る話。

ほぼまるまる風刺。途中データが出てくるところが説得力が増していて、小説を力強くしている。

 

 

『未来都市』

工事を巡る話。これも風刺色が極彩色。

会話はまったりとして、なおかつリアリティ。

お上であり、お役所仕事系、ショートショート